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バベルタワーのてっぺんで

メリル(Eno.52)が冒険している様を観客席から眺めているるクマヘッドとゼウ子があーだこーだ文句言ったり記録したり落書きしたりおっぱいおっぱい騒ぐ場所。

2024/05/18 (Sat)

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2007/03/01 (Thu)

16日目日記退避

(そのままコピペしただけザマス)
(後日過去ログと共に整形したのアップする予定だけど何時になるやら)


【瑞奈】
「……メリル、また負けてたもんね」


少女――片岡瑞奈は落ち着かない素振りで頭を掻くと、深く域を吐き出した。

昨日一日、何処か違和感を覚えたメリルの仕草。
思い返してみても……原因になりそうなのは『敗北』以外見つからない。


【瑞奈】
(露出狂……もとい、サバスってのに負けてから酷くなってるし、うん)


今日はそのサバスと再戦する予定だ。
正直、勝てる確証があるとも思えない……励ましの言葉の一つでも投げかけようと、そんな事を思いながらもう一息。

柄じゃない、情移りすぎ、そんな自責も頭の隅に浮かべながら、聞こえてきた足音に顔を上げた。


【瑞奈】
「おはようメリル、どうよ調子は」

【メリル】
「とっ……瑞奈かぁ、おはよー」

【瑞奈】
「ん、今日リベンジだって? 勝算はあるのかしらー?」


からかうような笑みを浮かべ、瑞奈はメリルを見下ろした。
後は反応に応じた言葉をかけるだけ、萎めば励まし、むくれれば笑いながら……背中でも叩いてやろう。

瑞奈は、そのどちらかの反応しか想定してはいなかった。
だから――


【メリル】
「ああ……大丈夫、私は負けないよ?」


――その、自信に満ちあふれた笑顔に、かける言葉が見つからなくて……。

 


第十三話
さよなら
-Angelic profile-

 


【瑞奈】
「アリシアー! ちょ、アリシアっ! 起きてるでしょ!?」

【アリシア】
「……起きては居ますが、騒々しいですね……どうしました?」

瑞奈は胸を押さえ、荒い呼吸を繰り返すとアリシアの肩に手をかける。

【瑞奈】
「どうもこうも! メリルがおかしい! 絶対おかしいーっ!!」

【アリシア】
「揺さぶらないでください、大丈夫、聞いてますよ」

【瑞奈】
「そんな冷静に返してる場合じゃないっ! 本当にメリルがおかしいんだってばー!」

【アリシア】
「はあ……分かりました、からっ!」

【瑞奈】
「あいたぁっ!?」


くるり、と瑞奈を投げ飛ばすと、アリシアは見せつけるように溜息を吐き出した。
崩れた衣服を整えながら、普段通りの無表情を瑞奈へ向ける。


【アリシア】
「……さて、おかしいとは具体的に?」

【瑞奈】
「と、当然のように投げてるんじゃないっ! 何よ今の!?」

【アリシア】
「かかる力と肉体の反応を読めばたやすい事です……それで、メリルがどうか?」

【瑞奈】
「そ、そうよ! メリルがおかしいの、なんていうかこう……ねぇ!?」

【アリシア】
「詳細を言わずに同意を求めるのは止めなさい……昨日と同じ、と解釈しても?」

【瑞奈】
「昨日の比じゃないわよ! あの子、あんな……なんて言えばいいんだろう、雰囲気も変だったし、その……」

【アリシア】
「……悪化したと判断します、成程……少し気になる所ではあります、メリルはまだ出てませんね?」

【瑞奈】
「え? ……ええ、多分朝飯でも食べてるんじゃないかしら」

【アリシア】
「わかりました、私もあの子と話してみます」

 


 


【アリシア】
「メリル」

【メリル】
「ん? ……あ、おはよう先生」

【アリシア】
「おはようございます、食事は済みましたか?」

【メリル】
「今終わったよー、ごちそうさまでした、っと」

【アリシア】
「そうですか……瑞奈、私達も食事にしましょう」

【瑞奈】
「え? ……いや、それはいいんだけど、用意してないんじゃ」

【アリシア】
「いえ、既に暖めてあります……失礼しますよ」


アリシアはメリルの横に腰を下ろすと、焚き火にかけられた飯盒を手に取った。
そのアリシアの行為に――それが成立する事に首を傾げながら、倣って瑞奈も腰を下ろす。

こんな『ミス』をアリシアがするはずが……いや、そもそも……。


【メリル】
「っと……じゃあ私はそろそろ行くよー、二人ともごゆっくりー」

【アリシア】
「メリル、その前に一つだけ……本日の勝算は如何ほどですか?」

【メリル】
「んぇ? さっき瑞奈にも聞かれたよー……勝てる勝てる、私は負けないよ」

【アリシア】
「そうですか、それは何よりです……が、残念ですね」

【メリル】
「ん?」


アリシアは用意の手を止めると、真っ直ぐにメリルを見据えた。
一瞬の沈黙を置き、小さく溜息を吐き出すと。


【アリシア】
「……杞憂であって欲しいと思っていましたが、メリル……いえ」

【アリシア】
「貴女は、メリルではありませんね」

【瑞奈】
「んなあっ!?」


何の迷いも無く、断定した。


【瑞奈】
「……せ、先生? 何言ってるのかなー?」


【アリシア】
「解説が必要ですか? まず、貴女が食事することを知った上で私達の食事も温めておきました……見たところ手をつけた形跡はありませんね」

【アリシア】
「メリルは『食事』に限ればそんな聞き分けの良い真似は致しません、味見……最悪、全て食べられている覚悟をしておりました」

【アリシア】
「次に、態度の差異……違和感ですね、昨日の時点では消沈してるだけとも取れたので様子を見ましたが、前述したそれと合わせると見過ごせません」

【アリシア】
「最後に……私は今この瞬間まで、メリルが『私』と名乗るのを聞いた覚えが無かった」

【アリシア】
「以上、全ての要素を、私が『危惧していた事柄』と重ね合わせれば明白です」


メリル、そして瑞奈の視線を浴びながら、淡々とアリシアは言葉を紡ぐ。


パチっと焚き火が音を立て、沈黙を彩る。

一拍の間。
静けさが緊張を纏う頃……メリルは歪んだ笑みを二人に向けた。


【メリル】
「――ま、バレちゃう気はしてたな、隠す気も無いしー……最後のだけは納得できないけど」

【メリル】
「私が私って名乗ることに、何か問題でもあるのかな?」

【瑞奈】
「め、メリル……」

【アリシア】
「問題とは一言も、要素として挙げたに過ぎません」

【瑞奈】
「え、あっ……ちょっ、あ、アリシア! 私には何がなにやら……」

【アリシア】
「彼女はメリルであってメリルではない、そういう事ですよ」

【メリル】
「違う違う、私はメリルよ? ……ううん、私がメリルなのよ」

【アリシア】
「まあ、二人ともメリルだというのは否定できませんが、少なくとも私達の知ってるメリルとは別人ですね」

【メリル】
「そういう事かな……やっぱり違うものね、当然だけど」


メリルは溜息混じりに苦笑を浮かべ、目を閉じると……もう一つ、溜息を吐き出した。


光が身体を包み込み、収縮し、霧散する。
眩しさが収まる頃には……藍の髪色が、黄金色へと変わっていて……。

 

【メリル】
「改めて、はじめましてって言っておこうかな?」

 

開けられた両目も、同色の輝きを見せていた。

 

【瑞奈】
「アンタ……ど、どういう事!? メリルはどうしたのよっ!」

【メリル】
「だから私がメリルだって」

【瑞奈】
「そうじゃないわよっ! 元のメリルはどうしたって聞いてるの!」

【メリル】
「嗚呼……今までの私と一緒、私の中で眠ってるはずよ、肉体的感覚は無いからあの子にとっては天国じゃないかしら」

【メリル】
「お腹も空かないし……ああ、私はあんまり食べないからあの子程気を使わなくていいからねって、コレはクリスに言うべきかしら」

【瑞奈】
「……やっぱり、アンタはメリルじゃないわ、他の誰が認めたって私は絶対認めない! メリルに戻しなさいっ、今すぐに!」

【メリル】
「んぇー、なんだか悪者扱いねー……そんなんじゃないよ、これはあの子も納得してるんだから」

【メリル】
「次負けたら私が出るって言っといたの、それだけの事なのになー」


【瑞奈】
「っ……それで、サバスに負けた時からずっと……っ!!」


昨日の様子が、瑞奈の脳裏に浮かんで消える。
あの消沈が全て自分が消える事に対する反応なら……自分の存在が奪われる事への諦めなら。


【瑞奈】
「ぐっ……私が一番、気づいてあげるべきだったのに……っ」

【メリル】
「なんか誤解してるみたいだけど、アレは私のせいじゃないわ……ただ、あの子が申し訳ないって思ってただけ」

【メリル】
「現状はアレの意思でもあるんだから、あまり私を邪険にしないよーに……と、じゃ、そろそろ行くねー……とりあえずサバス倒さないと」

【メリル】
「あの子が勝てなかったのを私が斬るって考えると、ちょっと楽しみだなー」


【瑞奈】
「メリルの意思って……そんなの、信じられるわけないじゃない!」


【メリル】
「意外と頑固なんだね、瑞奈って……ああそうそう、あの子から二人に伝言だよ」


メリルは二人それぞれに笑みを向けると――。


【メリル】
「ありがとう、さよなら――だってさ」


元のメリルに限りなく近い笑みを浮かべ、そう、呟いた。


【瑞奈】
「――っ!!」

【メリル】
「それじゃ、ちょっと行ってくるねー……待ってて、すぐはっ倒して帰ってくるからさ」


メリルは二人それぞれに笑みを向けると、振り向き、森の奥へと歩き出した。


【瑞奈】
「っ……ま、待ちなさいっ!!」


その声には答えず、メリルが立ち去った後には風の音だけが辺りに響いた。
不躾な静寂を感じながら、瑞奈は再び、アリシアの肩に掴みかかる。


【瑞奈】
「……どういう事よ、なんで……アリシアっ!」

【アリシア】
「血、ですね……やはり、あの血脈は銀十字をもってしても消せぬ程濃い物だったようです」

【瑞奈】
「それって……アンタ、なんか知ってんの!?」

【アリシア】
「……怖れては居ましたが、まさかこんなに早く事が起こるとは、予想外でした」


アリシアは瑞奈から目を逸らし、天井を見上げ目を細めた。


【アリシア】
「瑞奈、あの子の言葉の通りなら現状はメリルの意思です
……最悪の場合、このまま戻らないかもしれません」

【瑞奈】
「んなっ!? ……じょ、冗談じゃないわそんなのっ、わ、私は認めない、認めないっ!」

【アリシア】
「落ち着いて聞いてください、ただ、彼女を否定するだけでは始まらないのは確かです」

【瑞奈】
「……私、アイツとは多分相性悪いわ」

【アリシア】
「よく分かります……それでも、彼女に言葉を投げかけるのは大切です」

【アリシア】
「私と貴女と――いえ、誰でも良いのです、声をかければかける程、彼女は何らかの道を見つける事でしょう、後は――メリル次第です」


風が吹いた。
揺れる髪を遊ばせながら、アリシアは瑞奈を見据え手を握る。


【アリシア】
「覚悟を決めてください……容易な事ではありませんよ」


言い聞かせるように……瑞奈と、自身に向けて呟くと、深く、深く溜息を吐き出した。
風は、遺跡内の森を踊るように撫で、気紛れに何処かへと吹いていく……。

 

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クマヘッドとゼウ子
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男性
自己紹介:
・クマヘッド
PLじゃなくてクマヘッドってキャラがブログ書いてると思ってくれよ、なあ諸君。

・ゼウ子
クマヘワールドの切り札幼女。
無口で大人しくて無知でクール、色んな意味でツッコミを入れざるを得ない。

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