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バベルタワーのてっぺんで

メリル(Eno.52)が冒険している様を観客席から眺めているるクマヘッドとゼウ子があーだこーだ文句言ったり記録したり落書きしたりおっぱいおっぱい騒ぐ場所。

2024/05/17 (Fri)

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2007/03/15 (Thu)

18日目日記退避

(そのままコピペしただけザマス)
(後日過去ログと共に整形したのアップする予定だけど何時になるやら)

【パンダ】
「大変だよ熊頭先生!」

【クマヘッド】
「なんだねパンダ君、おじさんシリアスモードの時は日記でないようにしてるんだけど!」

【パンダ】
「調律+大+師-大-、じゃなくて調律+大+者-大-です!」

【クマヘッド】
「…………」

【パンダ】
「ピアノでも弄る気ですか! てーか+大+手前の造語誤字るのはいい加減やめてください!-大-」

 

+大+第十五話
調律+大+者-大-
そして、新たなる来訪者
-大-


【アリシア】
「…………」

【メリル】
「……っ」


メリルは頬をさすりながら、投げつけた主を睨み付ける。
何時の間に取り出したのだろう、指の隙間に計三本、メスを構えながら……無表情を返すアリシア。

冷静に思い直せば、避けるまでもなく自分には当たらなかっただろうソレ。
当たらない位置へ投げられたメスから感じた恐怖に、今更ながら腹が立つのを抑えながら一呼吸。

殺気?
違う、そんな物は最初から――今も尚、一切感じない。

速度と……あと、正確性。
自分に向かって飛んでくる、無機質な刃物を純粋に怖れて……慌てて回避した自分が居る。


【アリシア】
「……どうしました?」

【メリル】
「な……なんでもないよっ……」


そう答えるのが、精一杯。

特に何をしたわけでもない。
怒気も殺気も無く、口調も普段通り、表情さえも変えてはいない。

そんなアリシアを……どうしようもない程怖れている自分が、確かに居る。


本能?
アリシアという存在を怖れているのか、それとも……。


【アリシア】
「……無理に戦うことはありませんよ」

【メリル】
「え?」

【アリシア】
「思い直していただければ私は何も言いません、まあ……少し、小言は申しますが」

【アリシア】
「人を傷つけると、不用意に発言したのは……宜しい事ではありませんし」

【メリル】
「…………っ、覚悟は、できてるって言ったよね」


――戦いたく、無い。
沸き上がりかけてた感情を押し殺すように、もう一息。

そうだ……怖がるな。
覚悟は決めたはずだ、強くなろうと誓ったはずだ。

その為に他人を……知り合いだろうと、友人だろうと打ち倒すと、そう決めて……。


――それは嫌だ、と。


言ったのは……私、だったっけ……。


【アリシア】
「……仕方ありません」

【メリル】
「っ!?」


襲い来るメスをギリギリで躱し、重心を下げたまま走り出す。
そのまま、無防備に佇むアリシアへ、向けた刃を振りかぶり……。


【メリル】
「幾ら先生が強くたって……っ!」

【アリシア】
「…………」


思い切り、振り下ろす。
下ろされる刃はメスに止められ、甲高い音を響かせた。

受け流すことも、押し返すこともせず、ただ受け止めるアリシアに、口の端だけで笑んでみせる。


【メリル】
「戦い方次第よね……分かったよ、先生」

【アリシア】
「…………」

【メリル】
「先生には弱点があるよね……先生は普通に戦うしかできないんだ、そうだよねっ」

【アリシア】
「……と、言いますと?」


言葉は無しに、一呼吸。
沸き上がる力を剣に込めて……弾けるイメージそのままに、剣を押す。


【メリル】
「グリッターエッジっ!!」


刃が光輝く瞬間、支えが消え、剣が大地へ突き刺さる。
光の帯が追撃するように舞い踊るの空間から、逃げるようにステップを踏むアリシア。

その姿に、何かを確信したように……メリルは、満面の笑みを浮かべ安堵の溜息。


【メリル】
「先生は魔法とか使えないって確認したの――感じないもん、魔力とか」

【アリシア】
「ふむ……」

【メリル】
「今も防ごうとしなかったよね……やっぱり、ただのメスじゃ無理ってコトだよね!」


もう一発、同じように光の刃を振りかざす。
襲いかかる光刃を無表情に見つめながら、アリシアは小さな溜息を吐き出した。

迫る刃を見据えながら、右手を振るい、もう一呼吸。
左手に持ち直したメスを構え……右手は、光の刃へと――。


【メリル】
「んなっ!?」


バシィッ、と弾けるような音を立て、光の刃は霞みと消えた。

――属性抵抗。

最早無効化と言っても過言ではない領域のそれは、瞬時に、残りの刃も無効化する。


【アリシア】
「魔力、そして属性……共に私は希薄です、しかし」

【アリシア】
「工夫を怠らなければ、存外、立ち回れるものですよ」


淡い光を放つ右手を振るい、もう一度、溜息。
淡々と言葉を放ちながら、真っ直ぐにメリルを見据えるアリシア。

魔封じの道具でも持っているのか、魔力を隠しているだけなのか……。
姿からは判別できないが……それなりの防御力を秘めているのは確かな事実。


【メリル】
「……っ」


その動きに、言葉も出ないメリルを、アリシアはただ無表情に眺めたまま……。


【アリシア】
「……私から、征きましょうか?」


言葉と共に、身を躍らせる。
予想外の速度での突進を、横への跳躍でなんとか逃れ……。


【メリル】
「っ……この距離なら、外さないよっ!」


反撃の一振りを、斬り下ろす。


【アリシア】
「…………」

【メリル】
「えっ!? ……いつのまに!?」


がくん、と……抵抗感を覚えて見上げれば、白い布に巻き取られた自身の剣。
戸惑うメリルを見据えながら、アリシアは手元の白布――包帯を軽く振り払う。

木の枝と剣とを絡めたそれは、頭上へと剣を引き上げる。
吊られ、両手を上へと上げながら……目前まで迫ったアリシアへ反射的に蹴りを返す。

足に反応し、下がるアリシア――同時に投げられたメスが布を裁ち、支えを失いたたらを踏むメリル。


【メリル】
「間合いがメチャクチャ……こんな戦い方っ、何処まで!?」


気を取り直し、前を睨み――居るはずの場所に居ないアリシアを、目線だけで追いかける。

予想以上の素早さ、巧みさに、完全に翻弄されている自身を叱咤するように一呼吸。
前、右、左、上――。


【アリシア】
「……隙が大きすぎます――甘いっ」

【メリル】
「はぐっ……!」


視線を泳がせている隙に、背後からの一蹴り。
背を押さえながら振り向けば、静かに、自身を見据えるアリシアが……。


【アリシア】
「貴女には、言ってませんでしたね」

【アリシア】
「私は、医師を生業としていますが、もう一つ……片手間にこなしている仕事があるのです」

【アリシア】
「調律者――万能なる薬師、二つ名は伊達ではありませんよ」

【メリル】
「調律……っ!?」


メリルは目を見開きながら、今聞いた言葉を反芻する。

調律者。
その字が示す通り調律する者、世界という糸を紡ぐ者。
人同士の諍いにも、魔物絡みの事件にさえも手を染めず、ただ……世界の危機にだけ暗躍すると、話だけは聞いた超越存在。

御伽話の王子様とか、昔話の英雄とか、そういう次元の役職名。


【メリル】
「そんな……先生が調律……ううんっ、ならなんで! なんで私なんかを相手に……」

【アリシア】
「……簡単です、私は調律者である前に医者であり、それ以前に、アリーシア=フェイ=レムリスという人間です」

【アリシア】
「貴女の仲間として……先生と呼ばれる物として、貴女の行いは見過ごせません」

【メリル】
「っ……」

【アリシア】
「ですが、これは私と貴女の個人的な戦いです……調律者としてではなく、私自身としてお相手します」


つまり――本気を出す気は無い、と。
そんな状態の彼女に、自分は指一本触れていないと。

それを意識した瞬間、メリルの中に怒りにも似た悔しさが沸き起こる。


【メリル】
「くっ……いいわっ、そっちがその気なら私だって……っ!!」


ぐらり、と。
吠えた瞬間、世界が廻る。


【アリシア】
「……っ!」


一息、深く深く深呼吸。
揺れる視界を抑えるよう、頭を支えながら……きっと、アリシアを睨み付ける。


【メリル】
「ぐっ……」

【アリシア】
「……落ち着きなさい、メリル」

【メリル】
「――へぇ、先生はメリルって呼んでくれるんだ」

【アリシア】
「貴女もメリルであることは否定しません、最初からそのつもりでしたが」

【メリル】
「そうだったかな……先生も、あの子の事ばかり気にしていたと思うけど」

【アリシア】
「当然です、見た限り貴女は健康そのものに見えますので」

【メリル】
「私が出てくる前は、気にもかけてくれなかったくせに」

【アリシア】
「……気づかなかったことは私の不手際です、謝罪する必要がありますね」


アリシアは一瞬表情を曇らせ……小さく、頭を下げた。
その様子にきょとんとするメリルを、元の無表情で見据えながら……。


【アリシア】
「さて……医者として忠告します、あまり動かないほうがよろしいかと」

【アリシア】
「慣らし運転には激しすぎます、身体に慣れる事から始めては如何ですか?」

【メリル】
「っ……う、うるさいっ、うるさい!」


――見透かされたっ。

その事に不安と、焦りと、色々な感情を覚えながら、叫びと共に構えを正す。
切っ先を向けることで全てを誤魔化し、メリルは、アリシアを睨み付けた。


【アリシア】
「……仕方ありません」


一息。
アリシアはメスを持ち直し、間合いを計るよう背後へ跳ぶ。
踊るようなステップを繰り返し、牽制の意を込め……当たらないよう、投げつけた。

避けた隙を縫うように攻め込み、打ち合わせる瞬時に身を引いて。
手玉に取るような動きを続け――無表情のまま、静かに焦る。


【アリシア】
「……急いでください、瑞奈……」

【メリル】
「ぐっ……そこだぁーっ!」


呟いた声は森に溶け、メリルの耳には届かずに。
アリシアは……幾度目かの斬撃を流しながら、小さく、溜息を吐き出した。

 



+斜++小+――幻世
   商業都市『ラ・ヴァローテ』-小--斜-


【瑞奈】
「って、メリルん家の場所知らないじゃない、私のアホー!」


商店街のど真ん中で一叫び。
怪訝な目線が集まるのを全て無視すると、瑞奈は頭を抱えて眉をしかめた。


【瑞奈】
「……この広い街から人間一人探せって……住所くらい聞けば良かったかも」


肩を落とし、呟く。
声に出す事で反省の念を強めながら、辺りの人影に目線を移す。

奇異な目で眺める者、敢えて無視して歩む者、自分を気にしていない者。
それぞれを眺めながら、『使えそう』な人物を吟味する。

一から事情を説明する余裕は無い。
ただ店の場所を聞くために事情なんて話してられないし、こんな所で手間取るつもりは毛頭無い。


勢いだけで押し切れそうな、気の弱そうな女性。
この街の人間。
ある程度、頭の良さそうな……。


――居たっ。


【瑞奈】
「ちょっと、そこの人!」

【女性】
「……え?」


呼びかけに反応した女性に笑みを向け、一つ、咳払い。
落ち着いた素振り、理知的な瞳、何処か大人しそうな雰囲気。

探していた条件にぴったり当て嵌まる姿に、これなら行けると確信一つ。


【瑞奈】
「そ、貴女……冒険者って格好じゃないし、この街の人よね」

【女性】
「私ですか? ……はい、もう十年になりますね」

【瑞奈】
「ん、ちょっと聞いていいかしらー……武器屋だったかな、銀十字の店ってどの辺り?」

【女性】
「銀十字? ……異神大戦の、ですか」

【瑞奈】
「それ、別に武器探してるとかじゃなくてさ、奴に急ぎの用があんの、家の場所だけ教えてくれればいいからさ」


畳みかけるように言葉を投げ、微笑を向ける。

優しそうな女性だ。
十二分に怪しい自分が相手でも、きっと戸惑いながら答えてくれる。

そんな算段を頭の中で重ねながら、瑞奈は安堵の溜息を吐き出した。


【女性】
「はぁ……そう言われましても、この街にそのような人が居るとは初耳ですよ」

【女性】
「そもそも、異神大戦で戦死した、と聞いてますが」

【瑞奈】
「あ゛」


当たり前の返答に、溜息さえも凍り付く。
そういえば、銀十字は既に死んだって事になっていて……彼の武器屋なんて訪ねたって、見つかるはずが……。


【瑞奈】
「……あ、えーっと、あの、そうじゃなくてーっ……」

【瑞奈】
「って偽名聞いてないじゃん! 私のバカーっ!?」


頭を抱えて一吠え。
物凄い嫌な視線が集まっているのを感じるが、どうせ自分とは関係無い世界のシラナイ街、割とどうでもいい。

そんな風に思いながら叫ぶ事で誤魔化すと、焦りを抱いたまま街の景観を眺め見る。


【女性】
「……え、えっと……」

【瑞奈】
「ああもう、いいわアリガト、自分で探す!」


それなりの規模の街だが……仕方ない。
武器防具を扱う店は平和なら平和な程減る物だ、大戦も終わり辺境のこの地なら……商業都市とはいえ、十件あるか無いかだろう。

探しきれない量じゃない。


【瑞奈】
「ったく、私ってホントー……メリルのコト何も知らないじゃん……っ」


探すなら裏路地。

メインストリートにある可能性は……ゼロではないが低いだろう。
銀十字の、サングラスをつけただけの変装を思い出しながら、頭の中で断定する。

こんな所に店を出したら、五秒でバレる。


【女性】
「……――冗談です」

【瑞奈】
「は?」


振り向けば、微笑を浮かべた女性の姿。
はにかむように舌を出して笑顔を一つ。


【女性】
「貴女の正体が分かりかねて……ちょっとからかってみちゃいました、ごめんなさい」

【女性】
「と言っても、誰に聞いても教えてくれなかったと思いますけど……一応、秘密というコトになってるので」

【瑞奈】
「えーっと……アンタ、場所知ってんの?」

【女性】
「はい、それなりに有名らしいですよ? 実は皆知ってるんです」

【女性】
「この街の人は……あの人がどんな人間か、それを知った上で、普通に接してくれてます」

【女性】
「それどころか黙っておいてあげないと可哀想って、そこまで気をつかってくださる程に」

【瑞奈】
「……まあ、あんな変装じゃバレるよね、フツー」


誤魔化すように空を見上げながら一息。
……ていうか、黙っておかないと可哀想って、どんだけ舐められてるんだ銀十字。

ともあれ、コレでなんとかなりそうだ。


【女性】
「でも……入れ違いですね、今は居ないんですよ」

【瑞奈】
「んなっ!?」


そんな期待は、一瞬で見事に粉砕された。


【瑞奈】
「え、い、居ないって!? 何それ!」

【女性】
「えーっと……なにやら古い遺跡が見つかった、とのコトで、その発掘パーティに同行してますから」

【瑞奈】
「遺跡ぃ!?」

【女性】
「いつもの事ですけどね……遺跡の類が好きなのは昔っから変わりません」

【女性】
「皆さん様子見のつもりで用意してましたが、あの人は入念に準備してました……しばらく帰らない、らしいですよ」

【瑞奈】
「はあ!? しばらく帰らないって……何してるのアイツ! もういい、教えなさいっ! 呼んでくるわ!」

【女性】
「あ……遺跡の場所ですか? この街から北西へ片道で丸一日とちょっと……遠いですよ」

【女性】
「出発から三日は過ぎてますし、追いつくのは難しいと思います」

【瑞奈】
「なっ!? ……は、はあ!? 三日ぁ!? タイムロスってレベルじゃないわよっ!」


頭をかきむしりながら、北西の空を眺め見る。
遺跡までの移動はさておき、内部の追走を踏まえれば……どう見積もっても、二日じゃ足りない。

それどころか、状況的に今すぐにでも帰りたい所なのに。

そう、困惑する瑞奈を眺めながら……。


【女性】
「どうですか、私を連れて行く……というのは」


女が、笑みを纏って呟いた。


【瑞奈】
「……え、なんだって?」

【女性】
「多分、ですけど……あの人では、貴女の望む結果に辿り着けないと思うんです」

【女性】
「でも私なら……」

【瑞奈】
「は、えっ? ……えっと、誰よアンタ」


女は、瑞奈に対し柔和な笑みを向けると、身の丈ほどの杖を大地に突いた。


【女性】
「大丈夫です、メリルの事でしたら……私の方が、力になれますよ?」


それが答え、とでも言いたげな笑顔。
瑞奈は首を傾げたまま……琥珀に輝く指輪へ力を向ける。

えり好みをする余裕は無い。
それにしたって会ったばかりの女を信用するのはどうかと思う。

ただ……ウソを言ってるようには見えないし、時間は無いし、何より……。


【瑞奈】
「……まあいいわ、とりあえず信じとく」


とりあえずなんて大嘘だ。
一瞬、確かに溢れた魔力が……何よりも信用できると、自身の本能が告げている。

時空転移の法陣が辺りを包む。
島を心に浮かべ、頭の中で座標を反芻。


【女性】
「時空転移……そうですか、貴女は……」


何故か見覚えのある優しい笑み。
その微笑に、何処か既視感のような物を覚えながら……。


【瑞奈】
「……そゆこと、しっかり捕まってなさいっ」

 

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プロフィール

HN:
クマヘッドとゼウ子
HP:
性別:
男性
自己紹介:
・クマヘッド
PLじゃなくてクマヘッドってキャラがブログ書いてると思ってくれよ、なあ諸君。

・ゼウ子
クマヘワールドの切り札幼女。
無口で大人しくて無知でクール、色んな意味でツッコミを入れざるを得ない。

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