バベルタワーのてっぺんで
メリル(Eno.52)が冒険している様を観客席から眺めているるクマヘッドとゼウ子があーだこーだ文句言ったり記録したり落書きしたりおっぱいおっぱい騒ぐ場所。
折角だから俺は封印されたブログを使うぜ!
オフレポを書けって言われたから頑張りました。
+はじめに+
当オフレポは登場人物をEno表記も無しに、キャラ名ハンドル、またはそれらと関連性の薄いあだ名にて記している為、誰が誰だかわからないという出来事がザラにあるかと思われます。
以下にEno、キャラ名と呼び名対応表を乗せておきますのでご参考頂けますよう。
ハーヌ・クローヴァー(66)=オキハラ様
キルリア=F=スーサイド(23)=キルリアさん
クラッティ・シザーハンズ(48)=のか様
死神紳士(968)=紳士
紅掛 竜胆(426)=りゅうたんたん
エウリーネ=ファラキス(15)=れてぃさ
ハーカ(1410)=ハーカたん
ティルツォート・シュトラウス(208)=とらへ
アンダーテイカー(63)=あんあーたん
ぬま(17)=りりんらさん
天埜 邪鬼(550)=じゃっきー
リンレイ・フォルティシモ(779)=符たん
館守 比和(95)=みどりんおねーさん
KIKORI-XIV 『ZIGORO』(255)=セナ様
ぴょんた(1907)=ぴょんた
他、小さな冒険者一名。
そんなわけで
記事は書くんですか!?
知りません!
メールの返信滞ってませんか!
皆様には本当にごめんなさい!
この記事トップで数年放置されそうで我ながらムネキュン
スーパーバトンタイム!
うむ、此処くらいしか置き場所が無かったんだ!
そんなわけで中の人が漏れまくったバトン、いいよね俺なかコミュ主だし!
●対話バトン(俺様vsクマヘッドとメリ子)
回した人の指定キャラと管理人がお題に沿って対談(回答)をする。
回す人は最後に次のキャラ1~2を指定する。
尚、回す人のオリジナルキャラを指定してもOK。
リターンも勿論OK。
■まずは自己紹介を
三根崎「スーパーカオスタイム! こんばんはアナタのクマヘッドです」
kumahead「ついにウサギとかパンダじゃなくてクマヘッドが二人に増えました! なあに、かえって免疫が付く」
メリ子「ほえぇーっ!? く、クマが二人居るんだよー」
三根崎「ちっげーよ! 二人居るようでクマヘッドと俺なんだよ! 俺の場合は名称、コッチは見た目、リアリー!?」
kumahead「うむ、ありとあらゆる意味で無理しか無いと思うんだ俺は!」
メリ子「ほえぇ……あ、えっとねー、メリルはメリルって言うんだよー」
三根崎「ホント頭弱い子に見えるよなメリ子」
kumahead「流石にコレをmixiで公開する勇気は無いな、リア友多いってばさ」
メリ子「ほ、ほえぇー!?」
■職業を教えてください
三根崎「フリーターですが!」
kumahead「フリーターですよ!」
メリ子「ほ、ほえぇー……えっとね、メリルはー……む、無職ー?」
三根崎「学校行けよお前」
メリ子「えへへー、メリルはね、冒険者になりたいんだよーっ」
kumahead「冒険者だって子供の頃は学校行くんじゃないかしら」
■好きなものと嫌いなもの
三根崎「肉!」
kumahead「酒!」
三根崎+kumahead「エロ!!」
メリ子「ほえぇー……メリルはね、美味しい物はなんでも大好きですっ」
三根崎「このカオスを爽やかに流すメリ子の胆力」
kumahead「無駄に流すのが上手い小娘だコト……嫌いな物か、んー、〆切り?」
三根崎「時間が止まればいいのにって、思うのにね……」
メリ子「ほえぇ、メリルはー……嫌いな物、んー、うーん、ほえぇー……浮かばないんだよー」
■最後に互いに言いたい事があればどうぞ
kumahead「チキレに負けないでくださりませんこと! 辻褄合わせ大変なんですから!」
三根崎「HAHAHA、なあに、返って免疫がつく!」
メリ子「ほえぇー……えっとね、クマが出しゃばってばかりだからメリルの出番が少ないんだよー?」
kumahead「運命です」
三根崎「諦めろ」
メリ子「ほ、ほええぇーっ!?」
■では、回す五人
三根崎「だが敢えて此処でストップする! それが俺のジャスティス!」
kumahead「欲しい奴が居ればコメント欄で挙手したまえ、ぶん投げるよ!」
メリ子「……やっぱり同じ人にしか見えないんだよー」
三根崎「ちげーよ! パンダとウサギくらい違ぇーよ!」
kumahead「あれそれ同一人物じゃねってちょっと思ったけどうん、違うってコトにしておこうぜ!」
20日目日記退避
(後日過去ログと共に整形したのアップする予定だけど何時になるやら)
――何処までも広がる暗闇。
意識と無意識の狭間、精神の潜む空白領域。
上下も左右も無く、時さえも存在しない完全なる黒。
『メリル』は、そんな情景をぼんやりと眺めながら、ふわふわとそこに漂った。
自分が此処に居るという事は、メリルも眠っているのかな。
……眠っているはずだろう、ママが、そうしたんだろうな。
そんな事を思いながら、ゆっくりと瞼を下ろす。
安心したと、そう思った。
メリルと変わる、その約束が現実となる時一番不安だった事柄。
思ったことはなんでも口にする彼女が、自分のことを嫌っている彼女が、何か酷いことを言わないだろうかという不安。
周りの人がどう思うか、皆と、どんな風に接するのか。
誰かに嫌な思いをさせたりは、しないだろうか。
抱いていた不安は、全部、自分の空回りだった。
ううん、皆が凄く……優しかったんだ。
戸惑っているメリルに、笑顔を向けてくれた。
あの子の言う言葉に、自分を相手する時と同じように接してくれた。
あの子を、認めてくれた。
今思えば当然なそれを、心からありがたいと、そう思った。
このまま眠ってしまおうと、そう思った。
――もう、思い残す事なんて無い、と。
それならあの子も、幸せになれるはずだ、と。
メリルなら、きっと耐えきるだろうと。
そう、思った。
そう思おうとしていた。
――それで、いいの?
何も無いはずの暗闇に、声が響く。
第十七話
夢の空、現の月-二人が得た物-
……誰?
メリルは辺りを見回しながら……そこに、何の変化も無いことを訝しがりながら。
声がしたかもしれない、と思えた方角に目線と声を投げかけた。
反応は無い。
ただただ闇が広がって……そこには、何も見えやしない。
――メリルは、それでいいの?
声だけが、無から跳ね返る。
……駄目だと、思うかな?
聞き返した。
質問に質問で返すのは、そんな風に言ったクマの顔が一瞬浮かぶ。
メリルでもイイ、そんな風にクマも言っていた。
それなら、きっとそうなんだろう。
変わった所で困る人が居ないのなら、イイと思う。
――少しでもイヤだと思ってるなら、駄目。
透き通るような声が、耳に届く。
――諦めるのは、良くないから。
視線の先、変わらぬ景色の先に居るだろう声の主から目を逸らすように、俯く。
メリルは……。
メリルは、そんな風には思って……。
無いよ、と……言えなかった。
ただ、一言。
……仕方ないよ。
そう、返す。
……ホントはね、メリルも皆と居たいって思うよ、でも……。
二人とも表に出るのは、無理だから。
それなら、メリルは……メリルの中で皆の居れたら、それでいい。
――本当に、いいの?
……メリルは……メリルにも、幸せになって欲しいから。
皆だってメリルの事、嫌いじゃないみたいだし。
それなら、メリルでも大丈夫だって、思うから。
返事が消える。
ただ、小さく……本当に小さく、溜息を吐くような音が、耳に届いた。
その瞬間……世界が、真っ白い光に包まれて……。
+
【メリル】
「え?」
世界が、反転した。
上も下も純白、何処までも広がる真っ白な世界。
そこに、小さな椅子とテーブルと、映し出される世界の景色……。
【メリル】
「あっ……」
――パパだ。
映し出された世界の中、パパが長い剣を振り回し、目の前の人に切りつける。
一撃は受け止められ、弾かれ……押し返される勢いそのまま、砂浜に転がる。
それでも、何度打ち払われても立ち向かって、その顔は真剣そのもので……。
【??】
「……レイは、決して諦めなかった」
声が聞こえる。
揺れていた椅子が動きを止めて、座っていた人が振り向いた。
まだ子供……かな?
瑞奈と、自分と比べてもまだ小さい身体と、真っ白な肌と、長くて綺麗な赤い髪と……髪で隠れた顔。
なんとなく、何処かで会ったような気がした。
【??】
「……運命と言われても、不可能だと言われても……何があっても、諦めなかった」
【??】
「ただ皆と居たい……それだけを願って、立ち向かった」
【メリル】
「皆、と……」
【??】
「……メリルは?」
【メリル】
「え……」
【??】
「メリルは……諦める?」
【メリル】
「え、えっと……」
【??】
「誰かのために自分を消して……仕方ないと、笑える?」
【??】
「……メリルにも、声は届いたはず……それでも、自分を誤魔化す?」
【メリル】
「メリルは……」
思い出す。
メリルに告げられた、自分への言葉の数々を。
此処でメリルに全部譲れば、きっと……自分を叱咤するだろう人達を。
思い出すまでもない。
ずっと、頭の中では意識してた、戻って怒られるのもいいなって、そう思ってた。
それに、メリルだって……。
【メリル】
「メリルは……メリルも、皆と居たいよ……」
【メリル】
「でも、メリルがあんなに楽しそうだったから……メリルは、メリルの事も好きだから、えっと……」
【メリル】
「……どうしようって、思ってた」
二人とも、表に出る事は無理だから。
やっぱり……どちらかは、中に戻らないと、駄目だから……。
【メリル】
「……メリルは、どうすればいいのかな?」
【??】
「…………」
【??】
「……答えが自分の中にあるのに、聞くの?」
【メリル】
「あ……」
どくん、と……心臓が、ううん、身体全体が震えたような気がした。
【??】
「誰かに認められないと、何もできない?」
【メリル】
「…………」
多分、図星だと思う……。
メリルは……誰かが大丈夫って言わないと、駄目だった。
自分の判断で動いて、その結果……駄目になるのが、怖いから。
自分の所為で、誰かが嫌な思いをするのを嫌だって思ってたから……。
今までずっと、今は特に、そう思って……。
【??】
「……メリルは、自分を隠しすぎる」
【??】
「もう一人のメリルが、何でメリルが苦手だったのか、メリルの中が嫌だったのか」
【??】
「……分かった?」
【メリル】
「……うん」
【メリル】
「メリルが皆と話してるのを見てたら、なんとなく……」
【メリル】
「メリルがすぐ隠しちゃうから……思ったこととか言わなかったり、メリルはすぐ誤魔化したから……」
【メリル】
「メリルは……メリルの中でずっと我慢してたって、分かった」
メリルは……我慢の限界だったんだって、思ったんだ。
中に居て、言いたいことは何も言えなかったから……その上でメリルが、何も言わなかったから……。
【??】
「…………」
【??】
「メリルは、メリルの思った通りにすればいい」
【メリル】
「……大丈夫かな?」
【??】
「……知らない、それでも……自分を隠すより、そっちがイイ」
【メリル】
「…………」
――ひとつだけ、ある。
もしかしたら……メリル達が二人とも幸せになれる、とっておき。
今すぐにはできない事。
何年かかるか、わからない事。
メリルが頑張らないといけない、メリルがずっと望んでいた未来の形。
【メリル】
「……頑張ってみるよ」
【??】
「…………」
【メリル】
「うん……メリルね、怖いけど……これが正解って、分からないから怖いけど」
【メリル】
「それでも……思った通りに、やってみる」
【??】
「…………」
【??】
「……夢は現より生まれし幻の偽り」
【メリル】
「え?」
【??】
「覚えてて、メリル……夢は味方にはなれないから、最後は、現実がメリルを助けるから」
【??】
「後悔しないで……ずっと笑ってられるよう、諦めることだけはしないで」
【??】
「私はもう、メリルには何も出来ないから……それだけを此処から、願ってる……」
【メリル】
「え……っ、あっ! あぁっ、そうだっ!」
――思い出した。
何処かで会ったことがあるって思ったけど、そうじゃない。
メリルは、知ってたんだ。
この人のこと、ずっと……ずっと。
【??】
「……夢の中の夢は幕を閉じ、止まっていた時が回り出す」
【??】
「始まりを告げよう……取り戻した私の名にかけて、世界に眠りを与えよう」
【??】
「神位第二位――夢神の名の元に」
【メリル】
「……っ、メリル貴女のこと知ってるっ! ずっと昔から……ううんっ、ママのお話で……っ!!」
ずっと昔から何度も、何度も聞かされた。
パパとママと、もう一人の女の子との冒険譚。
ずっとパパの側に居て、ずっと、その姿を隠していて……。
だけど本当の姿は……本当は、ずっとパパの事を……。
視界が滲む
包み込む白が無限に代わり。
無限が、夢幻へ移ろい揺れる。
【??】
「さあ――物語をはじめよう」
【メリル】
「待ってっ! えーっと……アン――」
【??】
「――目覚めて、メリル」
メリルの言葉は白に溶け
純白は、夢の闇へと落ちていく……。
+
「…………っ!?」
目を開けば、そこには……満天の星空が広がって。
輝く満月を見上げると――そこに居る人影と目が合った。
風に広がる金の髪と、同色の瞳。
ずっと側にいて、言葉だけを交わしていた……一度も見たことの無かった、もう一人の……。
「メリル……」
「……こうやって面と向かって話すのは、初めてね」
メリルは、呼びかけに小さな微笑を浮かべると、そっと目を閉じ言葉を返す。
「うん……そうだね、ちょっと嬉しいかも」
メリルは笑みを返しながら、違和感を感じた腰へを手で撫でる。
ポケットの中に……何かある?
「……嬉しい、か……あははっ、奇遇ね」
「なんでだろう……私も嬉しいの、貴女のこと嫌いだって思ってたのに」
それを確認するより先に、メリルの言葉へ顔をあげる。
そこには、本当に楽しそうに笑むメリルの姿。
「…………」
「……『メリル』、私ね……やっぱり、貴女のことは嫌いだよ」
「身体を変わって再確認、私ね……貴女のこと、凄く羨ましいって思ってた」
「貴女みたいに皆と話したいって、そう思って……身体変わってって言ったけど」
「でも、そのまま貴女になれるはず無いって、分かってた」
「メリルみたいに……」
「そう、無理に決まってるのにね、馬鹿だったなー……」
「……でも良かったよ、やっぱり……言いたいことも言えたし、すっきりした」
「それに……皆ね、メリルじゃなくて私を見てくれたんだ……これは、言わなくても知ってるか」
「……うん」
「私は、貴女にはなれなかった……けどね、メリルにはなれるんだって、分かったから」
「皆が私に、沢山の声をかけてくれたから……」
「私は負けないよ、貴女にも……運命にも」
「正直ね、頭痛は酷いし身体も痛いし、隠すの大変なくらい身体は合わないけど……今までみたいに、我慢する」
「全部、全部乗り越えて……貴女に戻らないといけない理由なんて、無くしちゃうよ」
「諦めないって決めたから――私が私で居られるよう、奇蹟だって起こしてみせる」
メリルは笑顔を……満面の笑みを月の逆光に隠しながら、メリルを見下ろす。
その顔が、スッキリとした表情に……迷いがないなって分かって、思わず、メリルも笑みを浮かべた。
やっぱり、メリルはメリルの事も好きだから。
これからする事は、怒られるかもしれないけど、でも……。
「…………」
「ごめんね、メリル……メリルね、メリルに変わってイイって、言ったよね」
「あれ……やっぱりヤダって言っても、いいかな」
「…………」
「……ホントは、やだったの……メリルに変わるの、仕方ないって思うようにしたけど」
「メリルが色々言いたい事あるの、知ってたし……ヤだった」
「……知ってたわ」
「……でも、そんなメリルだったから、メリルが嫌だって思ったの、分かったから」
「メリルが嫌だったのは、すぐに誤魔化しちゃうメリル、なんだよね」
「ごめんね……メリル、さっきも誤魔化そうとしてた……全部メリルに譲って、それでイイって思っちゃう所だった」
「今度こそ、メリルに嫌われたまま……消えちゃう所、だったよ」
「…………」
「これからはウソはつかないでいようって思った、メリルが嫌だって思わないようにするから、だから……」
「ごめんね、やっぱり……譲れない」
「ワガママだって分かってるけど、でも……」
メリル達のために、一番いい事でありますように。
今はまだ分からないけど、でも、いつか……メリルも、笑顔で認めてくれますように。
それだけを思って、メリルを見上げた。
「いいよ……今、貴女が言った通り」
「身体の取り合いになるのは厄介だけど、私が何が嫌だったか分かってくれたみたいだし、十分よ」
「……うん」
「最も、譲る気は無いけどね……どうするのメリル? この状況、貴女はどうやって戦うの?」
メリルは笑みを浮かべながら、手にした剣を掲げて見せた。
空に浮かぶ満月と重なるように、銀の剣と鎧が光る。
対するメリルには……いつも着ている服が、一着だけ。
武器と防具、最初の取り合いはメリルが有利――精神的に負けていると、そういう事だ。
勝利を確信した微笑。
メリルのそれを見上げながら、メリルは……ポケットの中にある、それを握る。
「…………大丈夫、だよ」
「今日なら特別……月が、こんなにも綺麗だから」
「月? ……満月ね、確かに綺麗だわ」
「――違うよ、メリル」
「夢は現より生まれし幻想の偽り……どれだけ満月に見えても、現実の月は違うから」
「此処は夢の中だから……大丈夫」
ポケットから取り出したそれを、掲げる。
「メリルには……現実の月が分かるから」
青い石の真ん中で、膨らみかけた月が揺れていた。
「――月齢時計」
「今日は満月じゃなくて、現実の月は『膨凍月』……世界中の冷気が膨らむ、凍える夜」
「瑞奈が、教えてくれたんだ……」
静かに目を閉じ、息を吸う。
広げた手に集まるモノ、魔力ですら無い、純粋なる【属性】、冷気が固まり、型を成す――。
「――アイスウェポンっ」
一吠え。
象られた剣を――凍りの刃を振り上げ、空を見る。
「メリルも、刃向かうよ」
「メリルと、運命と……全部、メリルとメリルが、幸せになれるように」
「今なら……何処までもいけそうな気が、するもん」
その声に合わせて翼を開く。
漆黒に染まる二つの翼。
頭から、そして……腰から生えた二対四翼。
――魔翼。
「…………」
「…………」
一瞬の静寂。
無音と化した夢の中、じっと、二人の視線が混ざり合う。
そっと、目を閉じ。
笑みと共に、瞼を開く。
「……私は、私で居るために」
「メリルは、メリル達が笑える明日のために」
蒼なる銀が世へ駆け上がり。
白銀が刃を振り下ろす。
夢夜の月に照らされながら……――
「「負けないからっ!」」
――銀色と銀色が、交差する。
19日目日記退避
(そのままコピペしただけザマス)
(後日過去ログと共に整形したのアップする予定だけど何時になるやら)
【メリル】
「くっ……っは……っ」
メリルは小刻みな呼吸を繰り返し、剣を杖代わりに前を睨み付けた。
その視線を平然と受け流しながらアリシアは浅い溜息を返す。
戦況は完全な硬直状態。
飛びかかる度にいなされ、体力だけを奪われたメリルは、一手一手を流される度に長考にふけるよう姿勢を変えた。
これが――本当の意味での実戦なら、その時点で負けが確定するが。
その事に意識が向かない程、メリルの頭は混乱のるつぼに陥り、乱れきっていた。
【アリシア】
「…………」
そんなメリルの様子に……アリシアも、内心に焦りを抱いていた。
今のメリルの状態ではどれだけ動きを止めた所で身体が休まるはずが無い。
焦りと緊張、脳裏を支配しているだろうそれが、休息さえも阻害する。
それを注意した所で、彼女が素直に休むとも思えない。
身体に負担をかける事は……あまり宜しい事ではない状況だ。
かといって、戦闘を放棄する事も、彼女を戦闘不能にする事も……。
戦況は完全な硬直状態。
【瑞奈】
「――アリシアっ!」
【アリシア】
「っと……戻りましたか、レイファスは……っ」
【メリル】
「え……」
それを打ち砕いたのは、アリシアの待ち望んでいた瑞奈の帰還。
そして……二人のどちらもが予測していなかった、もう一人の……。
【瑞奈】
「ごめん、銀十字は捕まらなくて……よく分かんないけどぽややんってしてる自信満々な女連れてきたわ」
【??】
「あはは……なんだか酷い言われようですね、私……」
【アリシア】
「…………いえ、最良の援軍ですよ」
【??】
「お久しぶりです、お変わりないようで何よりです」
【アリシア】
「貴女ほどではありません、私の場合時間軸がずれているだけですよ」
【瑞奈】
「え、知り合い?」
【??】
「……メリル、久しぶり……ええ、久しぶりですね、メリル」
【メリル】
「ママ……」
【瑞奈】
「はあっ!?」
新たなる来訪者の存在だった。
第十六話
二人のメリル-会いたかったと告げる声-
【瑞奈】
「え、あ、ちょま、まっ! んなあーっ!?」
【アリシア】
「瑞奈……もしかして、知らずに連れてきたのですか?」
【瑞奈】
「し、知らないわよそんな! 何も言われなかったし!」
【??】
「瑞奈さん、で宜しいですか? お名前が分からないのでどうしようかと……」
【アリシア】
「……貴女、まさか自分の名前さえ伝えてなかったとか……」
【瑞奈】
「だ、だって! ちょっと道聞くつもりで声かけたし、こうなるとは夢にもっ!? か、片岡瑞奈っ、瑞奈でいいわっ」
【エリス】
「はい、エリス=シルバークロスです……いつもメリルがお世話になってます」
【瑞奈】
「アリシアーっ! もしかして私からかわれてないっ!? てかちょっと待った! 幾ら何でも無理がっ、若作りってレベルじゃねーわよ!?」
【エリス】
「あはは、素敵なリアクションです……隠しておいた甲斐がありますよ」
【瑞奈】
「そういう問題!? てかアンタ幾つだっ、幾つの時の子だメリルー!?」
【エリス】
「女性の歳は詮索しな……」
【アリシア】
「……十八、でしたね、確か私と同い年だった記憶がありますので」
【エリス】
「あ、アリシアさん……」
【瑞奈】
「三十路!? うそぉ!?」
【エリス】
「あはは……えっと、そこはホラ、血、と言うことでなんとか」
【瑞奈】
「天使の方!? 悪魔の方!? てか私もなる、私も人間止めるわジョジョー!」
【アリシア】
「……別に背が伸びたりはしませんよ、瑞奈」
【瑞奈】
「誰も背の話はしてないっ、しばくわよ!」
ぎゃあぎゃあと喚く瑞奈と淡々と流すアリシアに小さく会釈。
エリスは、二人から目を逸らすと……理解できない状況に硬直したメリルに、微笑を向けた。
【エリス】
「……やっと会えましたね、メリル」
【メリル】
「…………」
【エリス】
「いつか会えるって、信じてました……こんな形で会うのは想像して無かったけど」
その声に、瑞奈とアリシア……主に瑞奈が騒ぐのを止め、辺りが静けさを取り戻す。
メリルは視線を泳がせ、戸惑いの声を漏らしながら、剣を握っている事も忘れ力を抜いた。
がしゃん、と。
響き渡る金属音……その音に我を取り戻したのか、一拍の間を起き一吠え。
【メリル】
「う……ウソだっ!!」
【アリシア】
「メリル?」
【メリル】
「ウソだよ……だ、だってママ、一度も私に声なんかっ、名前だってくれなかったもん、ウソだよ!!」
【エリス】
「ええ……私にとっては、二人とも大切な『メリル』ですもの」
【メリル】
「え、ぁ……う……」
【エリス】
「それに……推測でしか無いのですが、メリルも他の名前で呼ばれるのは嫌でしょう」
【エリス】
「……私は、もう一人の自分を別の名で呼びました、それが嫌だったと知ったのは……少し、遅すぎて」
一瞬、過去を追想するように俯き……。
戻した視線で、慈しむように微笑みながら。
【エリス】
「メリル……私だけじゃなくて、パパだって、貴女のことを気にしているんですよ」
【メリル】
「えっ……」
【エリス】
「なんとか貴女を……いつか出会うだろうメリルの為にって、色んなコトを試して」
【エリス】
「でも、人形作製師の力だけはどうしても戻らないって……今は古代の遺産を頼りに、色々な遺跡を巡っています」
【エリス】
「ほら、すぐ居なくなっちゃうでしょ、パパは」
【メリル】
「う、あ……そ、それは……」
そういえば……年に数回、パパが居なくなる事があって……。
いつもお土産を沢山持ってくるから、何処かに遊びに行ってるんだって、私も……あの子も思ってた。
メリルは思い返すよう頭に手を当てながら、一歩……何かから退くように後ずさり。
【エリス】
「……メリル、身体は大丈夫ですか? 痛い所……頭痛は、ありませんか?」
【エリス】
「無いならママとお話ししましょう……貴女のこと、聞かせて貰えたら嬉しいな」
ずっと、自分は疎まれるだろうとと思ってた。
みんなの前から『あの子』を奪う自分は、きっと嫌われるはずだと覚悟してた――。
剣を手に取り、構え直す。
切っ先を前へ向け……震える手で必死に、握りしめる。
【メリル】
「……っ!!」
【瑞奈】
「メリル!?」
【メリル】
「う……ウソだよ、ウソだよっ!!」
【メリル】
「ママだって私を消すつもりなんだっ、ママも、あの子の方がイイって言うつもりなんだっ!!」
【瑞奈】
「アンタ……っ」
瑞奈は悲しそうに、悔やむように目を逸らすと、苦虫を噛み殺したような目を向けてきた。
――なんで貴女がそんな目を。
貴女が一番、私を疎んじていたはずなのに……っ。
どれだけ睨み付けても、瑞奈は……申し訳なさそうに目を逸らし、それが……。
【瑞奈】
「……ごめん、私……アンタの事見てなかった」
【瑞奈】
「悪かったなって言っとくわ……メリル」
彼女の後悔が、心に響く。
【メリル】
「え、あ……わ、私……私、は……っ」
【エリス】
「…………」
エリスはただ、微笑を纏ってメリルを……じっと、見つめる。
その目線に、一同から向けられる視線に、メリルは……弱々しく頭を振ると、ぎゅっと目を閉じた。
【メリル】
「あああああぁあぁぁぁぁぁあっ!!」
光が、溢れた。
メリルの身体を光が包み、それが、頭上へと収束する。
【瑞奈】
「なっ……メリルっ!」
光が、小さな丸を象り、輪となる淡い金色を放つ。
同時に、見開く目は辛そうに歪み、追従するように……白が広がる。
真っ白な翼。
羽ばたくように一つ震えると、抜け落ちた羽が一枚、ひらりと落ちた。
【メリル】
「わ、私は私だもんっ、私が……メリルだもんっ」
【メリル】
「何でそんな目で見るのよっ! 言えばいいじゃないっ、違うって……違うって言えばいいじゃないっ!!」
答えは、無い。
ただじっと見据える六つの瞳は攻めるでもなく、怒るでもなく……。
それは間違いなく、自分へと向けられる眼差しで。
あの子では無い、今の自分へ……メリルへと向けられた眼差しで。
皆、あの子ではなく……メリルを案じているんだと。
ここに居る自分を見ている事が、誰より、それを向けられる自分が理解できて……。
【メリル】
「う……うわあああぁぁぁぁぁっ!!!」
どくん、と。
何かが震えたような気が、した。
振り上げた両手に、力を込める事ができない。
その剣を、振り下ろす事が……できない。
――大丈夫だと思っていた。
誰が相手でも敵だと思える、ずっと、ずっと……。
私が居るためなら、誰でも許さないって、そう思っていたのに……。
【メリル】
「ママ……先生、瑞奈……」
いやだって、思ったんだ。
あの子が……あの子だけじゃなくて、誰よりも私が。
私の身体が、心が……魂が、全部拒絶した。
【メリル】
「…………」
【メリル】
「……ムリ、だよ」
がらん、と……。
先ほどより大きな音を立てて、剣が落ちる。
【メリル】
「皆……いい人だから……私、ずっと……嫌な顔されたら笑ってやるって、そう思ってたのに……」
【メリル】
「皆、私にも微笑んでくれて……あの子の居場所、簡単に……私の居場所にできちゃって……」
【メリル】
「これだけで幸せって、思ったから……私もう……ワガママ、言えないくらい……」
受け入れられたら、逆らえない。
私はもう、誰にも……誰にだって、言うべき文句を持っていない。
【エリス】
「メリル……」
【メリル】
「ママ……私、ずっと……ずっとね、頭が痛いんだ」
【エリス】
「分かってます、私もそうでした」
【メリル】
「……私、あの子と話がしたい……どうしたらいいかな」
エリスはメリルに微笑みを返すと、そっとその身体を抱きしめた。
金色の髪を撫でながら、そっと、その手に意識を向ける。
【エリス】
「…………大丈夫、任せて」
【メリル】
「うん……」
抱き返す力を感じながら、撫でる手を止め一息。
乳白の輝きがメリルを包み、一瞬の静寂――。
光が消えると同時、力の抜けたメリルを抱き留め、エリスは、ゆっくりと目を開けた。
【瑞奈】
「えーと、どうなったの?」
【エリス】
「軽度の催眠法術です、眠っている間は身体も休まるはずですから……」
【エリス】
「後はあの子の心、あの子達の心の問題です」
【エリス】
「次に目覚める時はきっと、上手く纏まってるはずです……」
そう言って、抱き留める手に力を込める。
安らかな寝息を繰り返すメリルに語りかけるように、その姿を見つめながら……。
【エリス】
「メリルは……私より、上手に折り合いをつけると信じてます」
【エリス】
「メリルは私より優しいから……メリルは、レイさんの血も受け継いでいるのだから」
【エリス】
「きっと、大丈夫です」
そう言って、微笑む。
……その笑みが、何処か寂しそうに見えて……瑞奈は何も言えなくなる。
そういえば……メリルの母親であるこの人も、メリルのようにもう一人の自分と会ったのだろうか。
だとしたらその時はどうやって……その時は、どんな結末を迎えたのか。
沸き上がった疑問を、問えない。
そんな……過去を思うような、笑みだった。
【エリス】
「ただ……別件で少々気になることが」
【瑞奈】
「え?」
そう思ったのは、一瞬。
次に浮かんだ笑顔は……何処か不安を抱いているように見える、未来へと向けられた小さな苦笑。
【エリス】
「もしもの時は……二人とも、手伝ってくださいね」
その言葉にアリシアが小さく頷く。
状況を読み込めないまま、瑞奈はエリスとメリルとを見比べた。
よく似ている。
微笑むエリスと、眠るメリル。
その、エリスの笑顔と言葉に、まだ終わったわけではないと気を引き締め、一息。
でもまあ、もう少し……もう少しだけ、このまま何も考えずに立っていたい。
そんな事を、メリルを眺めながらふと思う。
安らかな笑みと、広がる翼。
比喩ではなく、本当に天使のような寝顔を眺めながら……。
+次回予告+
漆黒に染められた『メリル』の意識。
冷たく、暖かい空間に抱かれながら、メリルはぼんやりとメリルを思う。
メリルなら、大丈夫。
今のメリルならきっと、皆とも上手くやれる。
不安が杞憂だった事に心からの安堵を覚えながら、無限の暗闇へと落ちていく。
――それでいいの。
――本当に、それでいいの。
声が聞こえた。
無限の闇を裂く声に、メリルが心を動かす時。
無限が、夢幻へと姿を変える――。
次回、第十七話『夢の空、現の月-二人が得た物-』
「……っ、メリル貴女のこと知ってるっ! ずっと昔から……ううんっ、ママのお話で……っ!!」
夢幻なる純白の空の下――始まりを告げる声がする。
プロフィール
PLじゃなくてクマヘッドってキャラがブログ書いてると思ってくれよ、なあ諸君。
・ゼウ子
クマヘワールドの切り札幼女。
無口で大人しくて無知でクール、色んな意味でツッコミを入れざるを得ない。
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